Tips for French cars owner drivers

フランス車オーナドライバの方へ

最近よく交換するパーツと多かった修理を紹介します。

腐ったガソリン
M/Tオーバーホール
エアーダクト
ブッシュ
シフトリンケージ
トーションバー調整
LLC錆との関係
ルノーテスター
ICレギュレーター
ラジエターホース
冷却水
ATFクーラー
サーモスタット
ファンスイッチ
ハブベアリング

腐ったガソリン

 最近車検を取らなかったり、事故を起こして修理に時間がかかったりして、長い間動かさないでおいた車が多く入庫してきます。

 どの車もエンジンの調子が悪く、最悪かからなくなってしまっています。プラグに火花は飛んでいるので燃圧を見てみると低いようです。普通はフューエルポンプの交換だけですむのですが、ガソリンタンクの吸い口を調べてみるとつまっているというか・・・凄いんです。臭いもつーんとしたガソリンとは思えない臭いがします。

 よくオートバイなどでは、タンクが錆びるから満タンにしておくのが定説になっていますが、フランス車やイタリア車のほとんどはプラスチックタンクなので、錆ることはありません。

 ガソリンが揮発性の液体です。それが蒸発した後残るのは、不純物やオクタン価を上げるための成分だったりします。それが、ガソリンタンクの内側のプラスチックや塗料を溶かしてヘドロみたいになり、フューエルストレーナーを詰まらせ、燃圧低下を引き起こしています。最悪、ポンプを破壊し、インジェクターを詰まらせたりもします。

 当社にご来店してくるお客様にはあまりいないと思いますが、しばらく動かさなかった車を動かすときには注意してください。

腐ったガソリンによって詰まってしまったルノー21ターボのタンク内のストレナー

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M/Tオーバーホール

 フランス車やイタリア車の中には、ミッションのシンクロ等の容量が元々足りなくて新車でもギア鳴りしてしまう車輌もあります。5年も経つとクラッチがへたり、そしてミッションも入りが悪くなったりします。オイルや添加剤でごまかしてみても無駄な場合が多いです。

 もしあなたのお車が、クラッチにへたりがあってミッションにも不安を感じるのでしたら、同時にミッションをオーバーホールしてみませんか?セットで作業すると工賃もお安くできます。

 止まっている時に1速もしくはリバースギアに入らないのは、ほとんどの場合クラッチの切れが悪いのであって、走行中にシフトチェンジした時にギア鳴りするのはシンクロがへたった場合が多いです。そのまま乗っているとギア本体をも壊してしまいます。はっきり言ってシンクロは消耗部品です。早めのオーバーホールをお勧めします。

オーバーホール中の205のM/T アルファ75のシンクロ類

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エアーダクト

 最近、スポーツクリーナーがはやり、スポンジタイプやコットンタイプなど色々でています。金属メッシュなどという材質のものもあり、多種多様になっています。取り付け方法も、ノーマル交換タイプとダイレクトタイプがあります。勿論、吸入量が多いのはダイレクトタイプです。

 ところがダイレクトタイプでは、ノーマルクリーナーに付いているエアーダクトが使えないものがほとんどです。その為エンジンルームの温度が高くなると、吸入空気音が高くなり充填効率が悪く、逆にパワーダウンしてしまう場合があります。

 そこで、ダクトを付けたり、バッフル板を付けたりすることをお勧めします。たった1枚の板を追加するだけでも電動ファンの熱気を防げます。中には下の左の写真の様にラムエアー(走行風強制吸入)まで考えているものもあります(注 プジョースポール106用Gr.Nキット)。

 特にターボ車の方は、インタークーラーに入る前に吸入温度が高くなっては、せっかくのインタークーラーが意味が無くなってしまいます。

106GrNエアーダクトキット THEMA832取り付け例

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ブッシュ類

 5年位経つと新車時のビシとした感じがなくなり、なんとなくふにゃふにゃした感じになってしまいます。ショックを変えたりしている方も多いと思います。確かにショックを変えるとかなりやつれが少なくなります。

 ところが、乗り心地が悪かったりステアリングレスポンスが悪いのは改善されません。それは、ブッシュがへたっている為です。見た目では判らないのですが、変えてみると走りが違います。

 ブッシュといっても色々あります。極端な話、エンジンのコンロッドの小端部もブッシュと言う場合もあります。つまり軸受けの事をブッシュと言うわけです。

 今回取り上げたのは足廻りのブッシュです。ステアリングが付いているフロント側のロアアームのブッシュ・サスのアッパーマウントなどは交換すると違いがわかります。ただ残念なことに、ロアアームブッシュが単体で設定されていなかったりする場合もありますのでご注意を。

ルーテシアのロアアームとフロントアッパーマウントブッシュ

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シフトリンケージ

 FF車の場合、ほとんどが横置きミッションの為、シフトリンケージ(ロッドだけではなくワイヤーを使っている場合もあります)を使ってミッションを操作しています。その為、直接動かしているFRのミッションと違ってゆるくなりがちです。最悪、途中に付いているピポットが外れてしまいシフトできなくなってしまいます。

 このピポットに使っている樹脂製のブッシュがへたってシフトリンケージが外れてしまいます。特にプジョーの場合エキゾーストと近いため、熱の影響を受けやすくへたりやすいです。また、クラッチの切れが悪くて無理な操作をし続けて外れる場合もあります。なかなな点検しにくいところにありますが、ロッドごとでも3,000円程度の物ですから早めの交換をお勧めします。

外された205のミッション

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トーションバー調整

 このホームページを読んで頂いている方でしたら、トーションバーとは何かということは解ると思いますが・・・一応説明します。

 足廻りのバネといったら、くるくる巻いたコイルスプリングが一般的ですが、一本の棒(バー)のねじれによってサスペンションを支えているのが、トーションバースプリングです。構造的にコイルスプリングに比べてスペースを取らないため、小さな車によく使われています。フランス車のリアの足廻りには荷室を広くする為に採用されています。

 ホットハッチと呼ばれている5、ルーテシア、106、205等も当然リアはトーションバースプリングです。それらの車でフロントのスプリングを強化タイプに交換してしまうと、前下がりがひどくなってしまいます。ただでさえフランス車は一人乗車の状態では前下がりになっていますので、ブレーキング時やコーナリング時にバランスが崩れてしまいます。そこで、リアにも強化タイプのトーションバーを入れればいいのかもしれませんが、今まで交換したものは堅すぎてリアがはねてしまう物が多いです。ただでさえトションバーはストロークが少ないので、よけいにバランスが崩れてしまいます。

 そこでお勧めなのが、リアのトーションバーを差し替えて車高を下げてフロントとのバランスを取り、固めのショックアブソーバーに交換してストロークを押さえることです。そうするとブレーキング時とコーナリング時に安定します。また、サーキット仕様のショックアブソーバーだけを付けた場合もリアを落としてバランスを取ってみたら安定すると思います。

 ところでトーションバーを差し替えると極端に車高が変わってしまうと勘違いしている方がいます。それは間違いです。トーションバーというのは、一山スプラインをずらすのではありません。バーの両側にスプラインがあって、その山数が左右で違う(たとえば左が36山右が37山)ため、両側同じスプラインの数だけずらせば微調整は簡単です。

 足廻りをいじってみたい方や、今の足廻りに不満がある方は、ご相談ください。きっとお力になれると思います。

横置きトションバー式トレーリングアーム 上がコイル式、下がトーションバー式スプリング

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LLCと錆との関係

 だんだん陽気も良くなり、ドライブ等で遠出する方も増えてきたと思います。特にサンデードライバーの方は、乗る度に気候の変化が多く、車を取り巻く状況が変わっていると思います。お出かけの際は水とオイル位は点検してください。一般にオイルの汚れは黒っぽくなるのでお解りいただけると思いますが、水(LLC)が汚れているのは解りにくいと思います。そもそもLLC自体、緑・赤・青・色の付いていない透明の物までいろいろ有ります。水との濃度によって判断するものなのですが、テスターがないと判断しにくいものです。3対1とも4対1とも言われている濃度も原液の色が解らなければ判断できないでしょう。

 簡単な判断のし方としては、茶色(錆)っぽくなっていたら即座に交換しましょう。LLCの効果がなくなってしまっています。よく、10パーセント位の濃度でも効果があると思っている方がいるのですが、逆に錆を促進させてしまう場合もあります。必ず25パーセント〜40パーセント位の間に維持して起きましょう。

 最近のエンジンはアルミブロックの物も多くなり、デリケートな水廻りをしています。不凍液とのマッチングを嫌い、専用のLLCを用意しているメーカー(ベンツ、BMWなど)も増えてきました。1〜2年で替えるように心がけてください。最悪、ラジエターが目詰まりを起こしオーバーヒートしたり、エンジン内を腐食させてしまいます。

錆でヒーターパイプが腐ってしまったルーテシア
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ルノーテスター

 1990年以降のルノーにお乗りになっている方だったら、一度は世話になっていると思います。XR25 通称ルノーテスター。どんな事ができるかと簡単に言うと、コンピューターとの交信です。現在のルノー車は、エンジンマネージメント・ATコントロール・ABS・エアーバック・エアコン・はたまたシートメモリーまで、まさに自動車ののすべてのコンピューターを制御できる物です。

 逆に言うとXR25がないとなにもできないのです。一番困るのは、バンサンク以降のAT車のATF交換です。電子制御されたATはレベルゲージがなく、XR25で油温を測り油量を調整いなくてはいけません。ATFの油量がてきとうだとショックが大きくなったり、滑りの原因になります。たとえ多すぎても同じです

 また、ATとかABSに不調があると自己診断モードに入ってしまい、インパネにランプが点灯して不調を知らせます。たとえそれが一時的な接触不良で直ったとしても、バッテリーを外しただけでは消えません。XR25で診断してメモリーを削除しないとだめです。

 当社ではこのテスターを用意し、ルノーオーナーのサポートをしてきています。車検や12ヶ月点検では無料でチェックしています。また、時々不調になるなどのトラブルを抱えた方は、ご来店ください。メモリーのチェックならすぐできます。

ルノーテスター(XR25)
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ICレギュレーター

 ICレギュレーター・・・あまり聞き慣れないパーツの名前だと思います。オルタネーターやダイナモというと充電する物ということが解る方がいても、ICレギュレーターというと?という方が多いと思います。簡単に言うと、発電の制御をしているものです。つまり車の消費電量に対しての発電量を変えている物です。これが壊れると充電不足によりバッテリー上がりとなります。フランス車の多くはバレオというメーカーのオルタネーターを使っていますが、これが弱いです。また、ほかのメーカーと違いチャージランプとICレギュレーターの電源の回路が分かれています。特にチャージランプ側の回路が内部接触不良を起こしやすく、そのためにチャージランプが点いても充電していたりもするものです。ただ逆も多く、チャージランプが点かないのにバッテリー上がりを起こす車も多いです。本当はオルタネーターのオーバーホールをするのがお勧めですが、あまり距離を乗らない方や予算のない方には単体の交換もできます。

オルタネーター ICレギュレーター
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ラジエターホース

 「オーバーヒート」。この原因の多くに、ラジエターホースの破裂があります。

 もともとヒートしやすい性格のエンジンの上、水廻りのメンテナンスが悪いとラジエターホースの破裂を及ぼします。もともと欧州のゴム製品の出来が悪い上にルノーのホース類はくねくね曲がっていたり、入り口と出口の太さが違っていたり大変、無理な造りをしています。とどめに、破裂するまで、外側には損傷が現れにくい材質の為、なかなか発見しにくいのです。破裂したホースの内側を見ると無数の亀裂がはいっており、ここまで、よくもったなとおもわれるほどです。早目に交換しましょう。又、破裂した所だけでなくホース全部を一度に、交換するのをおすすめします。なぜなら、同じ時期に作られて、同じ使われ方をしたのですから。

ルノーALPINE サムコラジエターホース装着車 破裂したホース内側
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冷却水

 LLCの容器などには4年もつとも6年もつとも書いてありますが、それは程度の良い車での事で、ヒートぎみの車だったら毎年、最長でも車検毎に交換する事をおすすめします。冷却水の中に混じったサビや油を取り除く為にも、早め早めの交換をおすすめします。また、水漏れ防止剤は物によってはラジエターやヒーターコアの目詰まりをおこすものがありますので、できるだけ入れない方が良いと思います。一時的には安くすみますが後々後遺症が出てきます。繊維状のものなら一応大丈夫みたいですが。自分の車は新車だから大丈夫と思っている方も、ヨーロッパの水は硬質で錆びやすいとも言われていますので交換してください。

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ATFクーラー

 ATFクーラー。あまり聞き慣れない部品だと思います。エンジンオイルクーラーがエンジンオイルを冷やすものというのは知られていると思いますが、ATFにクーラー(ラジエター)が付いていると言うことは、あまり知られていないのでは? しかも普通の車は冷却水のラジエターの中に組み込まれていて(水冷式)外から見えないことが多いです。

 交換時期が2万キロと言われているATFは、油音の上昇によって性能が落ち、すべりやジャダの原因になります。よって、ほとんどのAT車にはATFクーラーが付いています。ただ、コストと低温での効率の関係から水冷式が多いようです。水冷式は何年か経過してくるとアルミが腐食し水とATFが混じってしまい、ATをも腐食させATのオーバーホールが必要となってしまいます。

 予防策とししては、水の管理をきっちとすることです。心配だったら、消耗品と考えラジエターごと替えてしまうのが良いとおもいます。

 ルノーのATは良く壊れると言われますが、ほとんどがこの原因によってです。コストの問題か?ATの上とか横にコアを置き、そこに冷却水を入れる方式(下の写真参照)が採用されていますが、おかげで比較的簡単に交換できます(当社では30分位)。しかもメーカーでアルミ製からステンレス製へ材質変更された対策品(サンク用)が出ていますので、もしまだアルミ製のものをお使いでしたら早めの交換をお勧めします。

R5 ATFクーラー 右がステンレス製 R5 エンジンルーム内ATFクーラー
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サーモスタット

 サーモスタットというと専門的な物と思われがちで、敬遠されることが多いように感じますが、要はエンジンの水温を一定に保つパーツです。また、値段も5,000円前後の物が多く、4年毎に交換をすすめています。信じられない事に、あれだけオーバーヒートするといわれている5(cinq)GT-TやD501ALPINEに88度の物が入っています。当社では、社外品ですが83度と80度の物を用意しましたので、使ってみてください。全開になってしまったら確かに変わらないかもしれませんが、それまでの到達時間がちがいます。

ルノーALPINE サーモスタット
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ファンスイッチ

 サーモスタットと共に交換してもらいたいのが、ファンスイッチです。5(cinq)GT-T用の対策ファンスイッチが出ています。D501ALPINEにも使っています。5(cinq)GT-Tの多くは、対策されているとおもわれますが、消耗品なので4年毎の交換をお勧めします。

ルノーALPINE ラジエターファンスイッチ
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ハブベアリング

 スピードが増す事にゴーゴーと音がするならハブベアリングを疑ってくだい。特に最近リアのベアリングがいかれている車が多く見受けられます。特に、冬場スキーなどに多くいかれる方は要注意。シーリングが悪く水が入ってしまとすぐに音がでます。最悪は、ベアリングの破損によってホイールの脱落という非常に危険な事にもなりかねません。

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