Tips for Italian cars owner drivers

イタリア車オーナーの方へ

ここでは、最近入庫している車で、よく換えるパーツと多い修理を紹介します。

アースターミナル
リレー追加
ラックブッシュ
パワステラック
エアコン修理
電動ファンレジスター
マイクロ(粉塵)フィルター
タンクの錆
アースライン
タペットシム(タペット調整)
電動ファンリレー
バッテリ
ATF
ブレーキパッド
タイミングベルト
ロアアームブッシュ
プロペラシャフトカップリング
クラッチ

アースターミナル

 16Vまでのデルタ、1992年以前のテーマ、その他ちょっと古いイタ車に良く見られる集中アースについてお話しします。

 下の左写真、何本ものアース線が一つ一つ端子で止まっているのがお解りだと思います。生産時に取り付け易さのためかこんなふざけたアースの取り方をしています。メーカー側も解っていて、デルタなんかはEVOになってから束ねて一つにしてボルト止めにしています。ボディー自体もアース不良しやすいのに、これでは綺麗に電気が流れないのは一目瞭然です。デルタのEVOでさえ、はやりのアーシングシステムを付けると効果がはっきり解るのにそれより古いデルタの16Vなどは、電気系トラブルが出て当然だと思います。信じられないことにラジエターファンですらこんなアースです。テーマやアルファ、パンダ等はいつまでこんなアースを使っていたかは良く解らないのですが、もし左の写真集中アースがあったら、ご相談ください。束ねてボルト止めに変えましょう。

 バッテリーを何回も交換したり、バッテリー液による腐食でバッテリーターミナルがきちんと止められない車がみうけられます。カーショップ等で売っているボルトで締め付けるタイプに交換している方もいますが、やはり緩みやすく接触不良を起こしやすいです。下の右の写真の一番左は、デルタ用のオリジナルバッテリーターミナルです。ノーマルは6mmのボルトで締め付けているのですが、8mmのボルトで締め付けるものに交換しています。ちょっと写真が解りにくいのですが、左から2番目は何本もの配線をボルト止めできるタイプです。ライトリレーのキットを後付けしたりするのに便利です。右の2個は取り回しに無理がないように形が違う物を用意しました。

バッテリー端子交換 3,150円(部品代・工賃・税込)
ノーマルのアースターミナル TESオリジナル改良部品

トップへ戻る

リレー追加

 最近のイタ車は壊れなくなってきて販売台数もて延びてきましたが、ちょっと前まではすぐ止まるとかすぐ壊れると言われてきました。イタ車の電気系は弱いのは事実なのですが、単品で比べると意外と丈夫な物が付いていたりします。

 ではなぜ壊れるかというと、熱によってだったり、設計に無理があったりするからです。特に配線廻りでは、接触不良や断線が多くトラブルを起こしています。そこで、配線の変更や、カプラーの交換・リレーの取り付けなどが効果があります。ちょっとした加工をしてあげるだけで接触不良が起きなくなります。

 リレー追加は最も有効な手段です。ライトリレーを付けてあげればスイッチが保護されるし、配線の抵抗も少なくなりライト自身も明るくなります。

 先日、朝イチはエンジンかかるけどしばらく走った後再始動しようとするとスターターが回らない・・・という車が入庫してきました。スターター本体を修理してくれと言う依頼でしたが、スターターリレーを付けてみると、問題なく再始動出来るようになりました。キースイッチが焼け気味で接触不良を起こしていた物と思います。こんな様に、リレーを一つ追加してあげるだけでも効果はあります。

 何度直しても症状が出るような場合は、配線を引き直したら良いかと思います。

AR75に追加したスターターリレー

トップへ戻る

ステアリングラックブッシュ

 またまたステアリングのお話です。足廻りの所でもお話しましたが、ステアリングラックにもブッシュが付いていて、衝撃をやわらげると共に動きをスムーズにしています。

 ところが、このブッシュがヘタると、ステアリングラックが左右に動いてしまいます。簡単に言うと左に45度切ったとしても、実際は45度以上切れてしまう事があるということです。つまり基本の位置がずれてしまうため、思ったように曲がってくれない事があります。実際は5mmぐらいしか動いていないのですので、よっぽど注意していまいと解りません。

 ただ、直線道路でまっすぐだったステアリング位置が、曲がり角を曲がったら左右どちらかに傾いてしまうので、もの凄く気になるとも思います。また、ブッシュがヘタったということは振動でステアリングラック自体をも壊してしまうので、思い当たる方は、早めの交換をお薦めします。ちなみに、FF車に症状が出やすいです。特に164やテーマのオーナーの方はご注意を。

ステアリングラックブッシュ

トップへ戻る

パワステラック

 パワステラックの交換が最近多くなっています。ほとんどの車種がアッセンブリ交換となり、またシールキットがあったとしてもシリンダーにキズがあってオーバーホールできない場合が多いです。

 多少のにじみが出るうちだったら大丈夫(ブーツからグリスがにじんでいる場合が多いです)なのですが、オイルを補充するようの状態になってしまってはもう遅いです。走行中にオイルがなくなり急にハンドルが重くなったら、事故の原因ともなりかねません。

 ラックアッセンブリーとなると、下の写真の場合上が164の物で205,300円、下のベントレーにいったては622,000円(作業当時)と、高いものです。

 輸入車の場合ステアリングが弱いですが、本国と日本では使われ方も違います。道路環境の違いから、据え切りも多いし、熱の影響も受けやすいです。

 ふだんから据え切りを少なくし、オイルも3万キロ位で交換することをお勧めします。パワステオイル交換をオイル代込みで7,350円で行っていますのでどうぞ!!

上が164 下がベントレーターボRのステアリングラック

トップへ戻る

エアコン修理

 エアコンが必要な季節になってきました。   

 「イタ車のエアコンは効きが悪い」とあきらめて汗を流しながら運転している方も少なくないはずです。日本車に比べて確かに効きは劣ります。しかし、あなたの車のエアコンは本当に効率よく働いていて、その上で効きが悪いのでしょうか?

 まだまだ、チェックするところはあります。デルタで例をあげると、ヒーターコックが樹脂製の為少しずつ温水が流れていたりもしています。一つずつ対策して、エアコンの性能を目一杯発揮させましょう。


トップへ戻る

電動ファンレジスター

 異常気象のせいか、6月に入ってから気温が30度近くまで上がり真夏と変わらない陽気となっていますが、車にとってもきつい季節の訪れです。

 最近のイタ車はエンジンの音も静かになったのですが、補器類の音も静かになってきました。特に電動ファン。ちょっと前までは、ファンが回ると廻りの人達が振り向くような凄い音がしていました。最近は、室内にいると気がつかないほど静かになりました。ファンの羽の形状が変わったこともあるのですが、レジスターを付けて2段階に回しているためです。ところが、このレジスターが良くだめになります。カプラーの接触不良により焼けてしまったり、レジスター本体が焼き切れてしまったりしています。当工場もカプラーを変えたりして対策してきましたが、最近はアルファロメオのパーツを流用して対策しています。メーカーもわっかているみたいで、ファンを2個にしたりレジスター自体の変更をしたりしています(未だに、リレーボックスごと焼けてしまったりもしていますが)。

 良いものは流用するということで対策品(セメント抵抗になりカプラーも最初からハンダ付けされている)を使っているのですが、2個ファンが付いている車のものなので抵抗値が違います。つまりファンの回る速度が変わってしまいます。ただ、あくまで低速側だけなので問題は出ていません。

 本当はレジスターを通さず低速側も全開で回したほうが速く冷えるし、ファン自体にも負担がかからないのですが。

電動ファンレジスター 新型レジスター

トップへ戻る

マイクロ(粉塵)フィルター

 今年の花粉の季節も終わりかけていますが、花粉症の方にはつらい時期でしょう。ヨーロッパ車の多くは、最近エアコンにマイクロ(粉塵)フィルターを付けている車種も多くなってきています。155、164、エクザンティア・・・。舗装路の多い日本でも、外気からかなりの量のほこりがエアコンから入ってきています。下の写真を見ていただくとお解りと思いますが、3万キロ位の走行で白いフィルターが真っ黒に染まってしまっているほどです。花粉やほこりを防いでくれるのはいいのですが、汚れてくるとブロアーファンの風の抵抗になったり、エアコンの効きを弱めてしまったりしています。

 ブロアーファンが音ばかりで風の出が弱っかたり、エアコンの効きがいつもより弱くなった気がしたら、まずマイクロフィルターを変えてみてください。交換の目安としては2〜3万キロ毎です。値段は4,200〜6,300円位です。

交換時期が来た155のマイクロフィルター

トップへ戻る

タンクの錆

 オートバイではよくあることなのですが、タンクの中が錆びてしまいガソリンの吸い口が錆でつまりエンジン不調になることがあります。もっとも最近の車はプラスチックタンクが多いのでそう言ったトラブルは減っていますが、未だにマセラッティーなんかは鉄のタンクを使っていてストレーナーが詰まることがよくあります。マセラッティーのオーナーさんは年間の走行距離が少な目の方が多く何台も修理しています。構造上(タンクの下側にストレーナーが付いています。普通は上から吸います)錆が溜まりやすく仕方のないことなのですが、錆びないようにいつも満タンにしておくと良いと思います。

 作業としてはストレーナーを外して錆を取るだけなのですが、ガソリンをすべて抜かなくてはならず、また一度だけでは再度詰まる可能性もあります。

 不調でもないんだけどちょっと力がないな!とおもったら、タンクが錆びてストレーナーがつまり気味になっているのかもしれません。

マセラッティーガソリンタンクストレーナー

トップへ戻る

アース線

 最近の車はエンジンルームもデザインされていてとても綺麗にできています。もちろんいろいろなものが計算されており効率よく配置されています。それが配線にも言えています。特に太い配線は、見えないように、また、取り付けやすいようになっています。アース線も目立たないように何本かにわかれて配線していたりしています。なかには、何回か脱着しているうちに接触不良をしてしまうものもあります。ただでさえラテン車は電気系が弱いと言われているのに、「こんな取り回しでいいの」と思う物がたくさんあります。そんな不安があるときは、作ってしまったり、追加しています。配線自体も太い物に交換するのは勿論、端子もしっかりした物に交換しています。何回も同じような電気的トラブルが発生している方には特にお勧めです。

交換または、追加されるアース線

トップへ戻る

タペットシム(タペット調整)

 タペット調整。最近はあまり聞かなくなった言葉ですが、必要がないか?と言われるとそうでもないわけです。なぜなら、エンジンにとって一番調子の変わるクリアランスだからです。詳しい事は後で書きますが・・・。ただ、一部のエンジンでは油圧タペットを採用しており、油圧によってクリアランスをゼロにしているものもあります。そうすることによって確実なバルブタイミングで吸排気をおこなえ、またタペット音をなくすことができます。画期的なシステムなのですが、コストが高く油圧リフター自体の精度が悪いと逆にエンジンを壊すことにもなってしまいます。また、高回転型エンジンには逆に抵抗になってしまい向かないこともあって、欧州車ではほとんど採用されていません。では、なぜバルブクリアランスが大事かというと、それはバルブタイミングに大いに関係あります。

 カムシャフトの作用角が278度だの238度などと言う事を聞いた事があると思いますが、それは燃焼室に入る吸入量と燃焼室から出る排出量を作用させる為の角度です。当然、数字が大きいほど作用角は大きく吸入量も増える傾向にありますが、大きすぎてもいけません。そこら辺の話はまた今度として、作用角すべてがバルブを押し下げるはけではなく、バルブクリアランスの分だけ作用角が狭くなります。エンジンの吸排気は設計段階で一番いい角度は決められており、それに対してのクリアランスもおのずと決まってくるわけです。だから、クリアランスを規定値に保つということは非常に大切なことなのです。

 では、なぜバルブクリアランスが変わってしまうかというかと、バルブシートの減り・ロッカーアームの減り・リフターの減り・シムの減りなどが原因です。もちろんエンジンの形式(OHV・OHC・DOHC)によっても違いますが。エンジンが組み付けられたときというのは、新品の部品を使いアタリも出ていない状態です。走行しているうちにアタリも出て来てクリアランスも変わってくるわけです。ですから、一度タペット調整をおこなってみてはいかがでしょうか?DOHCのシム調整も必ず必要です。特にターボ車はターボの効きにも大いに関係しますので特にお勧めです。アルピーヌやデルタで好評です。

155,16Vタペット廻り タペットシム

トップへ戻る

電動ファンリレー

 1994年までの164Lや115SPIDERなどに使われている電動ファンリレーは、リレーの上にヒューズが付いている為、接触不良を起こしやすくオーバーヒートの原因になっています。2年ごとの交換をお勧めします。また、セットでファンスイッチ・サーモスタット・LLCの交換を行っておくと安心です。


トップへ戻る

バッテリ

 「何を今更バッテリーなんて!」と思われるかもしれませんが、164やSPIDERのバッテリーはトランク内にある為配線の抵抗によるドロップも多く、しかもカバーがついているのでメンテナンスしにくくなっています。早め早めの交換をおすすめします。

ALFA164 トランク内のバッテリー

トップへ戻る

ATF

 最近はカーショップやガソリンスタンドでもATFの交換ができますが、オイルの状態でしか内部の状態がわかりにくく、また交換した後では判断できないので、専門の工場での交換をおすすめします。164に関しては、当社では同時にスクリーンの交換もおこなっています。

 20,000km位を交換の目安として下さい。


トップへ戻る

ブレーキパッド

 164のオーナーの方でブレーキに不満を持っている方が多いと思いますが、同じシャーシの中で一番大きなエンジンを積んでいるため当然です。その不満を解消する為、フェロードのスポーツパッドをご用意いたしました。スポーツ走行を前提に選ばれたパッドの為鳴きは多くなりますが、温まって鳴きはじめてからは違う車のようです。

 また、コントロールしやすくロック寸前の微妙なコントロールができます。値段は張るのですが、どうせ2万キロ位はもつのでランニングコストとしてはたいしたものではないはずです。より効果を実感してもらう為にローターの研磨をおすすめします。最近流行の穴あきやスリット付きのローターは、サーキット以外では冷えすぎてパッドの性能を半減してしまいます。いざという時の為と、ファッション性重視のために付けるのなら構いませんが・・・


トップへ戻る

タイミングベルト

 タイミングベルトの交換時期は6万キロなどといわれていますが、当社では4万キロの交換をお勧めします。日本とイタリアの気候の差と渋滞が多い為のゴー&ストップの多さ・・・早目に痛むと思われます。切れたりこま飛びした場合、ピストンとバルブがぶつかり、最悪の場合にはエンジンオーバーホールとなります。ベルトの交換と共にベアリングも交換してください。焼き付いてベルトにダメージを与える可能性があります。

 また、V6エンジンのシングルカムのオーナーの方で、エンジンの前側にオイル漏れのある方はタイミングテンショナーを点検してください。折角交換した新品のベルトも、オイルがついてしまっては交換した意味がありません。オーバーホールもしくは、ASSY交換してください。

オイル漏れしているタイミングベルトテンショナー ALFA164 タイミングベルトテンショナー

トップへ戻る

ロアーアームブッシュ

 アルファ164・ランチアテーマ・フィアットクロマの3車種は、Tipo4ボデーを共用しています。ボデー(フロアーパネル)が共用なら、当然足周りやマウント類も一部共用しています。そんな中の一つにロアアームがあります。ストラットの方式は違うのですが、フロントメンバーの形はほとんど同じ為、ロアアームは多分共用していると思われます(違ったらごめんなさい。少なくとも832と164は同じです)。アームのフレーム側の支点にブッシュを使っているのですが、これがよくへたります。へたると当然ガタが出て直進性を悪くします。

 よく、アクセルオンの時右に流れオフの時左に流れるのはドライブシャフトの長さの差によるトルクステアーだとか、アライメントが狂っているとか言われますが、意外とこのブッシュがへたっている可能性が高いです。このブッシュは単体では部品が出ず、ロアアームと一緒にしか出ないものですが、4気筒から6気筒まで・1600ccから3000ccまで同じものを使っているためもあり、また、オイル漏れ等でゴムの老化を促進させてしまっている為交換の価値はあると思います。

164ロアアーム

トップへ戻る

プロペラシャフトカップリング

 アルファロメオのFR車でトランスアスクルを採用している車(75,アルフェッタ、ジュリエッタ、SZ)は、良くカップリングがだめになるという話を聞いたことがあると思います。ミッションが後ろにある為クラッチも後ろに付いています(ポルシェは、クラッチは前)。つまり、止まってアイドリングしている時ですらプロペラシャフトはエンジンの回転とおなじだけ回っています。それだけプロペラシャフトに負担がかかっているということです。それを3ヶ所のゴムのカップリングで振動等を吸収しています。しかし、残念な事に古くなると、逆にこれが原因で振動を発生してしまいます。イタリアのゴム製品はすぐだめになると言われますが、やはり4〜5年位しか保たず、振動が発生しますので、4年位での交換をお勧めします。最悪の場合、ゴムが切れプロペラシャフトが空回りして走れなくなる事もあります。また、特にあまり走っていない車は、センターサポートが重量で変形し、異音・振動を発生する事もあります。

プロペラシャフトカップリング類
左上からフロントカップリング、センターカップリング、センターサポート、リアカップリング

トップへ戻る

クラッチ

 雑誌などでよくイタ車のクラッチは切れが悪いと書かれていますが、確かに切れの悪い車も多いです。新車ですら切れない車があります。しかし、ちゃんとメンテナンスされている車は10万キロ走ってもきちっとした切れ具合で気持ちのいいものです。「まだ滑っていないからオーバーホールはしなくて大丈夫」と思っている方、それは大きな間違いです。エンジンを切ってクラッチを切ってみるとギーとかグイとか異音を発生していませんか?そうなっていた時点でオーバーホールをしてみてはいかがでしょうか。きっとびっくりするほど踏みごたえがよくなると思います。

 下の写真のように真赤になっていると思います。どうしても熱がこもりやすく、また新車の組み付け時のいい加減さの為にグリス切れを起こした結果このようになってしまいます。ミッションを痛める前にオーバーホール(3点セット交換)をお勧めします。

錆の発生しているクラッチカバー

トップへ戻る

TES